AmpliFi を試してみた

さて、海外に住んでいると避けては通れない話題である VPN ですが、たぶんもっとも費用対効果が高いのは実家に VPN 対応の WiFi ルーターを置くことだと思います。そしてものすごく簡単に VPN の設定ができる WiFi ルーターがあるので、どれくらい簡単なのか試してみたいと思います。

一番設定が簡単なのは有料の VPN サービスかもしれませんが、最近 Netflix や Hulu にはブロックされる方向にあります。またその VPN 経由のデータのプライバシーも問題です。実家にあるルーターで VPN をやる場合には、ブロックされる心配もなく、月額料金もかからず、プライバシーの問題もありません。
VPN いろいろについて興味のある方は前の記事をどうぞ。

既存の VPN 対応ルーターの問題

家電量販店などで売っている既存の VPN 対応ルーターですが、実家に置いて VPN を使う場合に下記の2つの設定が若干難しい場合があります。

  1. ダイナミック DNS の設定
  2. iPhone や Mac でその実家の VPN を使う設定

バッファローなどの WiFi ルーターには、自社のダイナミック DNS サービスで月額料金を取ったりするところもあるようです。また、無料の外部ダイナミック DNS サービスを使う場合、設定が少々難しかったり無料をを維持するために定期的に作業をしなければならなかったりします。そして iPhone や Mac で VPN 設定を入力する場合、入力ミス等で VPN の設定はできているのに何故かつながらない、といったトラブルが多く見受けられます。

こういった既存の VPN 対応 WiFi ルーターは、つながりやすさよりも「こんなのオマケ機能だから、とりあえず最低限の機能だけ備えとくけど後は頑張ってくれ」的な観点で実装してあるので、それはまぁ使いやすくないと思われます。

そんな煩わしさが一切必要なく、たぶん史上もっとも VPN が簡単に使える WiFi ルーターが AmpliFi です。

amplifi_loading

AmpliFi とは

Ubiquiti 社の家庭向け WiFi ルーターです。当然 802.11ac 対応、メッシュも対応、そして設定がほとんど iPhone アプリからでき、外出先からもアプリで設定可能。そして最近加わったのが、 Teleport と呼ばれるアプリで簡単に設定できる VPN です。

Teleport とは

AmpliFi 内蔵の無料 VPN 機能です。 Teleport を使うと、アプリで暗証番号を入れるだけでその iPhone からいとも簡単に AmpliFi 経由での VPN ができるようになります。ダイナミック DNS の設定も固定 IP アドレスも iPhone での VPN 設定の手動入力も一切必要なし。買ってきて設置して VPN 設定するまでがカール・ルイス(もしくはカール君)も驚きの速さです。そして家電量販店よく売ってる WiFi ルーターより断然小さくオシャレです。

北米の公式ストア
日本の公式ストア

設定してみた

というわけで、今回も中の人から評価用の機材を提供いただいたので、どんだけ簡単なのか設定してみました。今回設定したのは「ルーター本体+メッシュポイント2つ」の AmpliFi HD です。

箱はこんな感じです。
amplifi_box

これが本体です。小さいです。
amplifi_front

背面には WAN 端子1つ、 LAN 端子が4つ。
amplifi_back

これがメッシュポイント。新型です。
meshpoint_front

メッシュポイントの裏側。
amplifi_back

電源を入れて Comcast のケーブルモデムにつないだところ。さあアプリで設定しましょう。
amplifi_loaded


amplifi_app_1アプリを立ち上げて、 “Set Up AmpliFi Mesh System” を選びます。


amplifi_app_2近くにある AmpliFi を Bluetooth で見つけて表示してくるので、設定する AmpliFi を選びます。でもって、 WiFi の名前やパスワードを設定します。


amplifi_app_3外出先からの設定、および VPN を利用する場合には Facebook もしくは Google アカウントと紐付けます。


amplifi_app_4こんな感じで設定完了です。


同梱のメッシュポイントはあらかじめペアリングが済んでおり、電源に挿せばすぐ使えるようです。

AmpliFi HD をメインのルーターとして使い、かつ契約しているインターネットがギガビット級の場合は、 Hardware NAT 機能をオンにするとよりスピードが出るようです。ただ AmpliFi を他のルーターの配下に置いて、 VPN 端末として使う場合には不要だと思います。また AmpliFi Instant にはこの Hardware NAT が無いようです。

VPN を設定してみる

それではカンタン VPN 機能である Teleport を設定してみます。


teleport_1左上のハンバーガーメニューを押し、 “Generate Code” を選びます。


teleport_2出てきたアクセスコードを覚えます。このコードは一時的なもので、有効期限と最大何人までこのコードを使えるようにするかが選べます。


teleport_3Teleport アプリをダウンロードします。そしてさきほど覚えたアクセスコードを “I already have the code” の所から入力します。ちなみに “Request code from friend” とあるので、友達にコードを教えてあげて、 VPN を使わせてあげるケースも想定してるっぽいですね。


iPhone に VPN の設定プロファイルをインストールします。これのおかげで iPhone に VPN の設定を入力する必要がなく、入力ミスで VPN がつながらないといった事態が避けられます。


teleport_5もちろん VPN の接続も Teleport アプリからです。


teleport_6接続に成功すると、その間はインターネットが AmpliFi の置いてある場所経由になります。なので、 AmpliFi を日本の実家に置いておけば、日本国内からしか視られないサイトが視られるようになります。


AmpliFi のユーザーガイドはこちら。
User Guide (Online)

WAN を PPPoE に切り替えるやり方はこちら。
Setting your network type

Teleport のセットアップのヘルプはこちら。
Teleport: Setting Up Teleport with the Teleport Mobile App

おわりに

いかがでしたでしょうか。 VPN やりたいけど手が出なくて悩んでる方は多いと思うので、こんな簡単なヤツもあるのよ!と思って記事にしてみました。 Ubiquiti 社は広告宣伝にお金をかけないことで有名で、 AmpliFi も若干知名度が低めですが、 VPN を簡単にするという気概が感じられます。

この Amplifi 普通のメッシュ対応ルーターとしてもだいぶよくできていると思うので、おすすめです。

いろいろな接続方法

日本のフレッツで使う場合は初期設定する場合に DHCP でなく PPPoE を選んでプロバイダのユーザー名とパスワードを入れればよいかと思います。また、プロバイダーから配布されるルーター・ゲートウェイを使わなければならない時は、ブリッジ・モードにすればメッシュ対応 WiFi アクセスポイントとして動作します。なんとブリッジ・モードでも Teleport は動作するようで、素晴らしい。

Review: Ubiquiti Labs’ AmpliFi Routers Have Fast Setups, Gorgeous Designs, and Rock Solid Mesh Wi-Fi Coverage

ちなみに Amplifi にはハードウェアの Teleport という VPN デバイスもあり、これを使うと外出先に実家と同じ WiFi 環境を作れるようになります。 Teleport アプリの使えない Apple TV 等で VPN を使いたい時に便利です。

AmpliFi Teleport (AFi-RT) review

AmpliFi HD を2台使い、 Apple TV や Fire TV など普通は VPN を使えない端末で VPN を使えるようにする Router-to-Router Teleport という機能が追加されました。詳しくは次の記事をどうぞ。

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